仮想通貨・NFTの取引を行っていると、確定申告が必要となってきます。
取引履歴を全て計算しないと、正確な損益計算が行えないことから、手動で管理しようとするとかなりの手間と時間がかかります。
計算ツールを使って確定申告の準備をしてみたので、紹介していきます。
国税庁がフォーマットを提供しているが…
仮想通貨の計算を行うためのフォーマットは、国税庁HPでダウンロードできます。とはいえ、取引量が多くなると、手動での管理は現実的ではありません。
国税庁が提供しているフォーマットは、あくまで損益計算を行うための簡易的なものであり、保有資産や取引時の価格等は、ご自身で計算して管理しておかないといけないためです。
仮想通貨・NFTの確定申告が面倒な理由
取引履歴すべての計算が必要
一番面倒な理由が、取引履歴すべての計算が必要になることです。
取引履歴には、取引所での仮想通貨の売買やブロックチェーンアプリ上でのNFT売買・支払い等、記録されている履歴の全てです。そうしないと、最終的な保有数や損益計算が合わなくなります。
国内取引所を利用しているだけなら、取引履歴をダウンロードして国税庁のフォーマットに落とし込むだけでも問題ありません。
海外取引所やブロックチェーンアプリ(DEX、ブロックチェーンゲーム等)を利用していると、仮想通貨やNFTの売買、送金・預入、ガス代といった大量の取引が発生します。
参考程度に私の場合、取引履歴が3,000件/年を超えていました。
取引所、ウォレットによってフォーマットが異なる
取引所やウォレットの機能として、取引履歴をダウンロードできますが、フォーマットが異なります。
決まったフォーマットであれば、機械的にコピペやExcel・スプレッドシートの関数で取り出すことも出来ます。しかし、フォーマットが異なると、各フォーマットに対応した方法で取り出す必要があります。
利用している取引所、ウォレットが多いほど、取引履歴を取り出す手間が多くなります。
取得価額と売却価額の差が損益
確定申告するためには、最終的に損益計算を行うことになります。
仮想通貨・NFTの損益計算は少し特殊で、取引時点の時価が必要になります。
買い/売り | 数量 | 価格 | 損益 |
---|---|---|---|
買い | 1 | 2,000,000円 | – |
買い | 1 | 2,100,000円 | – |
売り | 1 | 2,200,000円 | +150,000円 |
売り | 1 | 1,800,000円 | -250,000円 |
上記は総平均法での計算例ですが、移動平均法でもその時点の時価が必要になる点は変わりありません。
仮想通貨を取引するだけなら、取引所からダウンロードできる履歴から計算することが可能です。しかし、ブロックチェーンアプリを利用する場合、ガス代や支払いに使う仮想通貨の時価が必要となります。
例えば、NFTを1ETHで購入して、その後売却したとします。この場合の計算例は下記のようになります。
番号 | 買い/売り | 品目 | 数量 | イーサリアムの価格 | 損益 |
---|---|---|---|---|---|
① | 買い | イーサリアム | 1 | 200,000円 | – |
② | 買い | NFT | 1 | 210,000円 | +10,000円 |
③ | 売り | NFT | 1 | 220,000円 | +10,000円 |
④ | 売り | イーサリアム | 1 | 180,000円 | -40,000円 |
- イーサリアム取得価額
- イーサリアム取得価額とイーサリアム時価の差額が損益かつNFT取得価額
- NFT取得価額とイーサリアム時価の差額が損益かつイーサリアム取得価額
- イーサリアム取得価額とイーサリアム時価の差額が損益
要するに、仮想通貨・NFTを売買した時点で損益確定となり、その取引により取得した仮想通貨・NFTの時価が取得価額にもなるということです。
確定申告用の計算ツールで解決すること
様々なフォーマットで取引履歴をまとめて取り込める
国内取引所、海外取引所、自己ウォレットのトランザクションいずれにしても、ExcelやCSVで履歴をダウンロードすることが可能です。
ダウンロードできる履歴のフォーマットはそれぞれで異なりますが、計算ツールを使うと各フォーマットに対応して取込が行えるようになっています。
ご自身で計算を行う場合、履歴から必要な項目を取り出して計算する必要があるわけですが、計算ツールならこのような手間はありません。
履歴をダウンロードして、計算ツールにアップロードするだけです。
仮想通貨の時価を自動取得できる
損益計算を行うには、取引時点の価格が必要になるというお話をしました。ご自身で計算する場合、履歴をもとにその時点の価格を調べて、価格を計算するわけです。
計算ツールを使うと、取り込んだ履歴をもとに、自動で時価を取得して価格を計算してくれます。
損益計算を自動でできる
最終的に各取引の損益の総計を出す必要があります。
取り込んだ取引履歴から自動的に計算してくれます。また、損益計算の方法には2種類(総平均法・移動平均法)ありますが、どちらにも対応しています。
履歴さえ取り込んでおけば、改めて計算する必要はありません。
確定申告用の計算ツールで解決しないこと
自動判断できない取引は手動設定が必要
機械的に自動判断できない取引は、ご自身で手動設定が必要です。
例えば、ご自身のウォレットに仮想通貨が送金されたとして、これが自己資産の送金なのか、エアドロップなのかは自動判断できません。自己資産の送金なら当然ながら損益の対象にはなりませんが、エアドロップなら利益として計上が必要になります。
といったように、履歴を取り込んだとしても、取引内容によっては全てが自動で完結するわけではありません。
マイナーな仮想通貨は手動で時価設定が必要
ビットコインやイーサリアムといった、主要な仮想通貨への対応はどの計算ツールでも行っていますが、マイナーな仮想通貨には対応していなことも多く、その場合手動で時価設定を行う必要があります。
マイナーな仮想通貨でも、どこかしらのサイトでチャートが公開されています。とはいえ、取引時点での価格が必要になるので、調べるのに手間がかかります。
使ってみた結果:地獄から開放された
仮想通貨・NFTの取引を行い、初めての確定申告に備えて準備を行いましたが、時間がかかり面倒でした。
計算ツールを導入して準備してきたわけですが、それでも手間はかかります。ただ、計算ツールを使わないという選択肢は個人的にはありません。
月に数回しか取引しないなら必要ないと思いますが、頻繁に取引したり、ブロックチェーンアプリを使うなら計算ツールを導入する方が圧倒的に楽になります。
なにより、履歴の取込を間違えなければ、正確に損益計算を行えるため、申告漏れや脱税といったリスクを減らせます。
無料プランが用意されていて、全機能は使えませんが使い勝手は分かるので、試しに使ってみると良いかと思います。
仮想通貨の計算ツールの一つである【CRYPTACT(クリプタクト)】 では、API連携・ウォレット連携により、ファイルアップロードすら必要ありません。